空っぽの万華鏡
佐野権太

海に落とした万華鏡
ゆらゆら沈んでゆく

閉じ込めたはずの
いくつもの輝き
永遠と信じてた

哀しみの水圧に耐えかねた、刹那
万華鏡は音もなく弾け
また
とろり、とろり

もう、届かない
指先も 光も

やがて
空っぽの筒だけが
ただひとつ
ぽっかりと浮かんで
潮風に吹かれ
ちぎれ
波に彷徨う


自由詩 空っぽの万華鏡 Copyright 佐野権太 2005-12-13 18:20:52
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こころの、こえ。