僕が転んだ
「ま」の字

僕が転んだ
白い雲がながれていた
僕が転んだ
麦の穂を風が掃いた
僕が転んだ
膝に石を刺した
しんとした痛みを
ただこらえた

何も居ない 
笑いごえもない
ひざを押さえた道端で
風は麦の穂を掃き
麦はおおきく列を崩し肌を擦りあわせ
音をたてて波はつぎつぎに僕を追い越している

考えない
けんめいに、なにも考えない
水汲みにやられた子のようにたちあがり
またひとり歩きはじめる

道がつづいている
どこまでもどこまでも

僕が転んだ

麦と風ばかり
あおいあおいそらの下だった





自由詩  僕が転んだ Copyright 「ま」の字 2005-12-12 22:20:46
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