行き場
岡村明子

分厚い本を閉じて
黴臭いじゅうたんに横たわる

天井に時がうつっている
そうだ
君は正しい

はためくカーテンの向こうに
君のいる世間がある

誰とも会わないので
自分がひとりかどうかも数えられない
何かがなくなったようで
最初からなかったような
時間が経っているようで
いつしか戻っているような

不安も
孤独もなく
満たされもせず
四方の壁が私の思考を乱反射して行き場がない

朝の光がこぼれている


自由詩 行き場 Copyright 岡村明子 2005-12-12 01:28:52
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