落ちてく
フユナ

ささやかに
くりひろげられる祝宴
ノートブックの
きれはしの中の



外側の
銀世界
にはほど遠い
ところどころに煙った雪



落ちてく
地下茎すらとどかないどこか
土の下、下、下、下
雪の 冷えも
春の 花も
とどかぬどこか
そのかわりに
始終の冷熱が続く
どこか

(ささやかに くりひろげられる 祝宴)

拡声器の 声も
スーパーの ちらしも
とどかぬどこか
そのかわりに
老いぼれ騎士の勝ち鬨がとどく
どこか

ここではない
ここでなくはない
土の下、下、下、下、
落ちてく



ささやかに
くりひろげられる祝宴
布張りの中の
クレッシェンド
だんだん強く、という落下と失望
スカートの膨らむふくらみ



外側の
パレード
にはほど遠い
このままとけていくものに
バンザイと叫んで
けっして落ちてこない
わたしの仔犬









自由詩 落ちてく Copyright フユナ 2005-12-11 02:44:12
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