古びた便箋の青い文字
たりぽん(大理 奔)

君からもらった
たった一通の封筒は
古びて黄色く灼けてしまいました

その中に大切に抱かれた
数枚の便箋も
古びて黄色く灼けてしまいました

今にも崩れそうな酸性紙の上
ボールペンの青い文字は
それでも薄れてはいないのです

いつか便箋が失われたとしても
文字だけが掌に残り
耳に当てると声になって
よみがえるじゃないですか
こんなにも言葉は強いじゃないですか
伝えること、残っていくこと
いつだって歴史は文字
だったじゃないですか

古びて黄色く灼けた贈り物が
恋や傷が本当だったと
想いを薄れさせないのです

嘘のない言葉の強さを
信じられないのは
冷たく寒い、業のような弱さなのです

君からもらった
初めてで最後の言葉を
信じられなくなったとき

私は古びて黄色く灼けてしまい
言葉だけが残るのです




自由詩 古びた便箋の青い文字 Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-12-10 00:42:27
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