しおり
こしごえ

冬の空のしんとした質感に
しなだれる肺のたおやかなこと

木枯しに枯れていく太陽のもと
不透明な雪の結晶となる重さを
熱く呼吸して火照る

湾曲している波に共鳴する
空との境界で
風が薄く微笑む

朝刊に目をとおす
今日が、今日いつでも
今日の詩に小鳥の羽根をはさむ
すると昨日がささやく
今日は、二度と来ない。

真昼の月は今生限り
花の蕾が今かと膨らむ




自由詩 しおり Copyright こしごえ 2005-12-06 15:20:12
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