座敷牡丹
ミゼット

髪をそこらに捨て置いて
女を呼び寄せ
付文をする

呪ってくりゃれ
声の変わりに鏡の中の
そこの女を
さぁさぁさぁさぁ

腹に居るのは誰の子でもありゃあしないよ
ただ夜半に泣くばかり
腹が空いたと鳴くばかりの仔

こんなところにいるんでなけりゃ
わたしも未だ
乙女であったろう

転んでしまった愚かな女が
昼に鏡に映るのが、
それが
ただ、ただ、疎ましい

さぁ呪ってくりゃれ
髪をやる
呪ってくりゃれ
声をやる
呪ってくりゃれ
さぁさぁさぁさぁ

梳いては抜け落つ腰までの髪
散らし、流しては文の変わりに
いずことも知れぬ呪術師に
私の主人は乞うては過ごす

彼女の嘆きは昼の内のみ
夜には鬼に変化して
数多の男を取り喰らうのです


自由詩 座敷牡丹 Copyright ミゼット 2005-12-05 21:17:21
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