忘れもの
銀猫


聞き慣れぬメロディーが
不意に耳を訪れ
きみのケータイを発見せり

外出先で気付いたろうか
今の電話は急用かな
届けてほしいと言うだろか
どうしてくれよう
白いフレームが
こっちばかり見ている

ちらり
ちらり

あわわ
今度は短いチャイムが
人違いのように声をかけてきた

仕方ないさ

誰に向けてか判らぬ言い訳をして
禁断の果実に手を伸ばし
ぱかっと割る

何処の星からやって来たのか
確かめるくらい
きみに裁かれないはずだ



カウンターをイキナリ食らった
きみらしく几帳面に
振り分けた引き出しには
頑なに鍵
なぜかお送り先だけ鍵が無い

果実の一切れは
怪獣さながら
突如襲いかかってきた


プライバシーなんて
正論紅茶は今日は飲まない
熱くなる額と
凍るハァトの芯は
もはや手遅れ

決闘だっ!

あっちを向いてるきみに
白手袋爆弾を
投げ付けてやる!

こっちの弱点は
愛なんてハンコを
押してしまったことだけだ!



自由詩 忘れもの Copyright 銀猫 2005-12-05 14:46:42
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