忘れもの
銀猫
聞き慣れぬメロディーが
不意に耳を訪れ
きみのケータイを発見せり
外出先で気付いたろうか
今の電話は急用かな
届けてほしいと言うだろか
どうしてくれよう
白いフレームが
こっちばかり見ている
ちらり
ちらり
あわわ
今度は短いチャイムが
人違いのように声をかけてきた
仕方ないさ
誰に向けてか判らぬ言い訳をして
禁断の果実に手を伸ばし
ぱかっと割る
何処の星からやって来たのか
確かめるくらい
きみに裁かれないはずだ
!
カウンターをイキナリ食らった
きみらしく几帳面に
振り分けた引き出しには
頑なに鍵
なぜかお送り先だけ鍵が無い
果実の一切れは
怪獣さながら
突如襲いかかってきた
プライバシーなんて
正論紅茶は今日は飲まない
熱くなる額と
凍るハァトの芯は
もはや手遅れ
決闘だっ!
あっちを向いてるきみに
白手袋爆弾を
投げ付けてやる!
こっちの弱点は
愛なんてハンコを
押してしまったことだけだ!