蘇生
たもつ

昨晩まで裏庭で死んでいた父が
今朝は生き返って
何かの冗談のように
冗談を言いながら食事をしている

自分の胸に手を置けば
小さな鼓動が伝わってくる
それは生きていることの証なのに
多分僕から一番遠い

ネズミに舌を齧られて味がわからない
という父に
今日の味噌汁はしょっぱい
と教えてあげた
そんなことないわよ
母は頑なに言って
そんなことないわよ
もう一度言った

弟はまだ二階で
生まれることの意味もわからないでいる



自由詩 蘇生 Copyright たもつ 2005-12-04 08:12:53
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