馴れ初めない冬
A道化









手と手が触れ合わないだけの理由が
夥しくて
冬は、一層
失いやすいものから失ってゆく
自然な成り行きだと、して


ほら
はらはら
葉がアスファルトへ落ちるのか
はらはら
アスファルトが
葉へ落ちるのか


どっちだって幸せだろ、恋の馴れ初めのように。
曖昧な発端を主観的に記したノートへ、「ただ、
ただ、落ち合いたい。」と書く
なぜなら、その理由が
夥しくて、夥しくて


その理由が、夥しくて
それがそのまま寒さとなり
体温が秘密に、湿度が機密になる
ああ、冬は
それも自然な成り行きだと、して









自由詩 馴れ初めない冬 Copyright A道化 2005-12-03 12:41:09
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