あるパーティーにて
アシタバ

古めかしいホールのような場所で見知らぬ人が
懐かしげに笑いかけた
腐りかけの甲殻類の臭いがしてきた
いつの間に
おかしな縫いぐるみを頭にのせた
全裸の人たちのなかにいた
気味が悪いほど上機嫌にはしゃぎまわっていた
黒い油のような飲み物が振舞われた
ソレヲノムト×××ニナルノデス
×××になどなりたくありません
というと見知らぬ人の懐かしげな笑顔が消えた
サア
と無理に勧めるので
もう一度
×××になどなりたくありません
というと
おかしな縫いぐるみを頭にのせた
全裸の人たちが静まり返った
身動き一つせずこちらをじっと窺っていた
息苦しい沈黙が流れた
突如おかしな縫いぐるみを頭にのせた
全裸の人たちがあちこちでお互いの首を絞め合い始めた
見知らぬ人は責める顔つきになり
ホラゴランナサイアナタノセイデツミモナイヒトタチガヒドイメニアウノデス
サアノミナサイ
黒い油みたいな飲み物から腐りかけの甲殻類の臭いがしていた
いやです
おかしな縫いぐるみを頭にのせた
全裸の人たちはばたばたと倒れて口から泡を吹いた
モウテオクレデス
そこいらじゅうおかしな縫いぐるみを頭にのせた全裸の人たちの死骸が横たわっていた
見知らぬ人は自分で黒い油みたいな飲み物を飲み干すと
両足で跳ねながら立ち去っていった
何ともいたたまれない申し訳ない気持ちになり
誰かが飲み残した腐りかけの甲殻類の臭いがしている黒い油みたいな飲み物が入ったグラスを一気にあおった
  ×××
モウイッパイイカガデス?
聞き覚えのある声がするほうを見ると
給仕の格好をした見覚えのある見知らぬ人が
トレーにたくさんグラスを載せて立っていた
どのグラスにもワインやウイスキーなどがなみなみと注がれていた
さっきまでおかしな縫いぐるみを頭にのせた全裸の人たちだった人たちが
スーツや燕尾服姿や凝った仕立てのドレス姿で会食していた
ふと自分の服装が気になり始めた


自由詩 あるパーティーにて Copyright アシタバ 2005-12-02 12:27:57
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