床屋さんと耳
LEO
子供のころ
父さんの行きつけの床屋さんで
髪を切ってもらっていた
そこのおばちゃんは私の髪を梳かしながら
「○○ちゃんの髪はほんと硬いね〜、櫛が折れちゃうわ」 って笑うから
いつもいつも耳が真っ赤になって唇を噛んだまま
‥もう絶対来るもんか と呟く
次の日は学校へ行きたくなかった
私が髪を切ったことなど
誰も気にしてないだろうけど
見られた途端笑われてるような気がして 耳が真っ赤になる
それなのに耳を隠していた髪はきれいさっぱりなくなっている
自分ではすごく嫌いな髪型だった
耳を隠すためにまた伸ばし始める
耳が隠れてほっと安心する頃に床屋に連れていかれる
それの繰り返しだった
一度自分で切ったことがあったが
どう見ても鍋を被っているようにしか見えなくて
父さんに床屋に連れていってもらった
おばちゃんが
「これでは変だわ」って大声で笑ったから
‥おばちゃんのも変だよ 唇を噛んで呟いた
それでも自分で切ったよりはマシになった
が やっぱり耳のとこがきれいになくなってる
次の日は学校へ行きたくなかった
あれ以来私の耳は隠れたままでいる
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『思い出』