（当時のニュースを聞きながら）

昭和天皇！　ヒロヒト天皇！
とうとうお亡くなりなのですね
僕はあなたが　笑顔のような
そうでないような顔で
手を振っているお姿しか見たことが無い

昭和天皇！　ヒロヒト天皇！
あなたのためにたくさんの人が
命を捧げたって本当ですか？
あなたが神だったって本当ですか？
僕の前では
ただの爺さんにしか見えなかったよ

昭和天皇！　ヒロヒト天皇！
今になって我が国の子供達は
再び神の国を信じたがっています
この国が美しい神の住まう国であり
国民は神の子であり
周辺国の連中など口汚く罵っていいような
そこには薄汚い猿しかいないなどと
思いたがっています

昭和天皇！　ヒロヒト天皇！
個人的な勝ち目を失った子供達が
この国の勝利を自分の勝利として
その美酒を一度でも味わいたく
戦争をしたがっているのです
あなたは再び戦争の神として
祀り上げられるかもしれないのですよ

昭和天皇！　ヒロヒト天皇！
でもあの子供達ときたら
自分で戦場に行く気などさらさら無くて
「現代の戦争は専門的な技術スキルを
　要求されるため、自ら志願して十分な訓練を
　積んだ者でなければならない
　だから僕らに戦争は無理
　戦場に行く必要なんか無い」
などとホザいて
誰かに戦わせててめえ達は見物しようというのです
それで戦争をやりたがっているのです
それで戦争をやりたがる政治家を選ぶのです
だから昭和天皇
あなたのために死ぬ人なんて
ただの一人もいないのですよ
なんという嘆かわしいことでしょう！

子供達よ
それでも神の国の子か！
卑怯者が！　お前が戦争に行け！
お前が戦場に行って銃弾に撃たれ
死ぬほど痛い思いをしてこい！
お前が戦場に行って屍を晒し
ジャングルの獣に喰われてこい！
お前が戦場に行って戦死者となり
親兄弟を友達を恋人を泣かせてこい！
そしてお前が戦場に散って英霊となり
靖国に祀られてこの国の名誉になってこい！
それが嫌なら神の国だなんて
いい気になって言うんじゃない
いい気になって戦争したがるんじゃない！

昭和天皇！　ヒロヒト天皇！
この平和の中で先日
あなたの孫娘が結婚しましたよ
今時三十六まで女の操を守っているなんて
さすが神の子だと思いました
今やこの国に神がいない
欲望を抑える存在が何も無く
サカリのついた家畜みたいにやりまくる
そして子供達はただの欲望に動かされ
戦争をしたがっている
戦争をしたがっている
戦争をしたがっている
天皇家の操は神の行いに等しい
天皇家を再び神とせよ！
天皇家を崇めて天皇家を見習い
国民全員清楚に生きてくれ
天皇陛下万歳！
天皇を再び神とせよ！
天皇陛下万歳！
天皇家を平和の神とせよ！
天皇陛下万歳！
天皇陛下万歳！


　　　（十一月十九日　「ネルシャツ・フェスタ」で朗読）