黒い翼をください
たりぽん(大理 奔)

約束を残せない
こころの道行きを
現在いまの寂しさを埋めるため、と
ほほをよせ
せがんだひと
秒針の刻む音で測る体温


明日への確かな足取りよりも
ぬくもりがほしい
今日が眠れない、と
手を引き
泣いたひと
歩幅で測る傷の重さ


  名も知らぬ甲虫が
  君の蜜を吸う時
  それを幸せと呼ぶのなら
  きっと二人だけの季節
  抱えて刻む輪郭


いま
羽根が欲しい
それは孔雀のではない
そして猛禽でもない
獰猛で狡猾で臆病な
黒い鳥のつばさ


ぬかるむ前の
妙に明るい
冬の方向の碧空
がまぶしいから
そのつばさが
影なのではない

そうじゃないか




自由詩 黒い翼をください Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-11-20 19:13:54
notebook Home 戻る