六花のうた
銀猫

春までの道のりを
手探りするきみの指で
うたは束の間、白く結晶する

凍れる河と
色褪せた山並みと
特急列車の行方を挟み
わたしの前で野分の一陣はわらう


今日も約束の書けぬ手紙なら
きんいろの落ち葉一枚に
名前を書いて届けようか

重ね着た服の
胸の奥処で
きみのうたは根雪に

未完の囁きは
けして
融けない雪になる


きみは六花の白と言い
わたしは
雲母の銀と呼ぶ


春までの



       注(六花:ろっか。雪の結晶する様、雪。)


自由詩 六花のうた Copyright 銀猫 2005-11-20 17:37:13
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ふゆの花