坂の、その先の雲の落としている影
霜天

ぐるり、と
回ってみて気付いている
下敷きにされた世界は、ほんの少し暗くて
それでも透明、に何処かへ繋がろうとしている
きみは
あの頃の夢の続きを見た後で
ぱあん
と、弾けてしまって
それを僕は拾い集める
どんな夢、だったのかなんて
きみはどこまで行っても、零しそうにない


ひとつ、ふたつと数えるくらい
ソファの上で眠った後で目をこすると
きみは随分、きみらしくなっている
あの坂の先に雲が来て、僕らはその下にいる
ほんの少し暗くて、弾ける音が響く場所


 手書きのメールが届く
 夢の続きが見たいという
 差出人は空白で
 まだ何処にも、送れないでいる


坂の先、海岸線まで
そこはまだ、下敷きにされている
ほんの少しだけ、暗い世界は
透明な指で何かを求めて
探す
探す間に
きみはゆっくりと、目を閉じると

ぱあん
と、そんな音を残して


自由詩 坂の、その先の雲の落としている影 Copyright 霜天 2005-11-17 00:21:38
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