滑落
たりぽん(大理 奔)

氷壁は確保すら危うい
三点支持
命綱は細い電波のように
とぎれとぎれ


辿った記憶だけが教えてくれる
過ぎ去った轍を踏み


体温も
灯りも
声すら
霧の彼方に常に失われ


想いも独標に刻まれることもなく
ひたすら石版の淵を


ぬくもりをさがし
行方を灯し
そして
あなたを叫び続ける


この私の
可能空間で
無限であれと


ただ、ただ
落下し続けながら








自由詩 滑落 Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-11-16 11:25:07
notebook Home 戻る