少女舞台
かや

一、

せんせい、と
あたしの声が響くたび
澄んだ空気が
ゆらり
あでやかに揺れる
それに気付いて
目の奥のどうようを
れいせいな
おとなのまなざしで
隠すひと

その距離はなんて甘美


ニ、

大人びた顔立ちを
崩すように笑う
秒ごと生まれかわる表情に
置いていかれそうな長い睫毛
少女が操る風を
止めてはならないと
僕は半歩下がって頷く

と、
やすらぎを乱したくなる
いたずらで
意地悪な思いが
芽吹いて蔦を絡ませた 僕の足は
一歩前へ

大きく開いた目
微笑に変わる
そのとき
ひとりの女をそこに見た


風に呑み込まれる


三、

苗字よりも
少しちから強く
あたしの名前を呼ぶから

そうしてここから飛びおりる
残酷な腕は
とても近い


四、

いつかの日ふりかえる
過ちもまた甘美




自由詩 少女舞台 Copyright かや 2005-11-14 19:26:11
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
四文字熟語