回線の断層
たりぽん(大理 奔)

部屋の電話線は
きっと
つながっているのです
耳をそえると
懐かしい雨音まで
聞こえてきます


ロウソク工場の煙が東へ流れて
小さな雑草の黄色い花が
激しく雨粒に
たたかれていました


荒地にしみこんでいった
錆色の面影も
くらい地層をくぐって
瞳の断層からあふれ出すのです


(そう、こんなにも透明になって)


伝えたいのです
あふれたものが育んだ黄色い花を
旅立っていった種たちの季節を
胸に鳴り続ける雨音のざわめきを


てのひらに
握りしめた
受話器の
いつか
つながる先へ



自由詩 回線の断層 Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-11-14 18:06:39
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
たんぽぽ