月夜と母はいつもよい
けんご
11月22日午前3時08分
お母さん あなたが逝った夜
空にはぽっかり月でした
今 あなたの死に顔に口づけします
冷たい頬よ
べにをさせ
あなたの面(おもて)に
私たちの涙が落ちそうです
幸いおだやかな顔だち
今にも目を覚まし
あの古い口癖を
「昔の人は言うたんよなあ。
他人怖ろし、闇の夜。
月夜と母はいつもよい。
って言うてな」
その古い口癖を語りだしそうな
すすり泣く声の中
あなたの棺に
みなで花々を手向けます
お母さん 私は
まぶたの中のあなたを
泣かせない人になります
私たちも目を腫らし
はなみずを零しながら
あなたの顔を覗き込みますから
一足か二足早く
花園の楽園へと旅立ってください
涙で滲む夜空よ
月夜と母はいつもよい
お母さん
お別れです
2004,11,23.