日和
霜天
目を閉じる
瞼を、それは落ちていくのかもしれない
いつもより低い世界で目を覚ます
見上げることしか出来ない
そこから始まる一日が
そこにある
青空に
誰かが口笛を吹く
開いた本から
文字が転げ落ちていく
行間はその白さを深くして
手にすると零れるもの
つかむとするりと離れていく
沈み込んでいく忘れられたベンチ
オーダー漏れのテーブルの、待ちくたびれたその角度
するりと零れていく、もの
抜け落ちた一日
歩道橋の上り方を忘れて
遠回りをしてみる
置き忘れてきたものが眠っている
部屋の隅、椅子の下、どこかのバス停
引き出しを開ければ通じているかもしれない
あの日のメモ書き、薄くなった時間で
またいつかと目を閉じれば
陽射しは西から、高いところを通って
そんな一日の積もり始めた光の下、
薄くなる記憶の角に躓くような姿勢で
閉じるように