日和
霜天

目を閉じる
瞼を、それは落ちていくのかもしれない
いつもより低い世界で目を覚ます
見上げることしか出来ない
そこから始まる一日が
そこにある


青空に
誰かが口笛を吹く
開いた本から
文字が転げ落ちていく
行間はその白さを深くして


手にすると零れるもの
つかむとするりと離れていく
沈み込んでいく忘れられたベンチ
オーダー漏れのテーブルの、待ちくたびれたその角度
するりと零れていく、もの
抜け落ちた一日
歩道橋の上り方を忘れて
遠回りをしてみる


置き忘れてきたものが眠っている
部屋の隅、椅子の下、どこかのバス停
引き出しを開ければ通じているかもしれない
あの日のメモ書き、薄くなった時間で
またいつかと目を閉じれば
陽射しは西から、高いところを通って


そんな一日の積もり始めた光の下、
   薄くなる記憶の角に躓くような姿勢で


閉じるように


自由詩 日和 Copyright 霜天 2005-11-09 01:04:55
notebook Home 戻る