仕組みを、知ってゆく
A道化





石段と
石段と
腰掛けた石段と、石段の
夥しい無骨な角から
無言で下垂する影を利用し
日没が冷たく
成立してゆく


「もしも
 ここだろう、と探り当て
 わたしの影に触れてくるような物質があれば
 わたしは泣く」
と思う


影を利用するだけ利用して、夜は
きちんと棄ててあげることをしないから
朝にはきっとまた
あの影は夜を待ちながら
無言で下垂することになる
わたしはそこを、ここでしょう、と探り当て
触れる、そして


わたしが泣く、と知ってゆく
もしもわたしが触れても泣かない影があるなら
ただざらつくばかりで泣いてくれない影があるなら
わたしのほうが泣くのだ、と知ってゆく
ほら、知ってゆく



2005.11.6.


自由詩 仕組みを、知ってゆく Copyright A道化 2005-11-07 08:09:20
notebook Home 戻る  過去 未来