きんいろのうた(くらやみと子)
木立 悟




朽ちた緑の壁の前に
きんいろの影がひとつ立ち
宙と土のゆらぎをつなぐ


水が流れている
手のひらから
光を呑む子のかたわらを
水は流れつづけている
無色の虹が幾すじも
水にのって流れている


眼球のかたちの光を呑みほし
子は帯をとき
闇のくちびるを知る
いちばんやわらかな場所よりもやわらかな
うすくあたたかいくちびるを知る


くらやみ
ひとつ川
くらやみ


無数の生きものの 
粒のあつまり
緑と金の 
粒のあつまり


水が流れつづけている
水は 流れつづけている
流れは
流れのそばにころがる
濡れた光の眼球と
差し出された子の手のひらに
触れゆく闇の手のひらを映す


流れは流れ
ひとつに 流れ
くらやみの外
手のひらの外
ごうごうと ごうごうとなりひびく
きんいろに きんいろになりひびく









自由詩 きんいろのうた(くらやみと子) Copyright 木立 悟 2005-11-06 17:37:21
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