5)詩の朗読・初心者の覚え書きメモ/その5・・・沼谷香澄さんに学ぶ
宮前のん

 「声帯だけが発声器官だと思ってるなら、それは間違い。体は全身が発声の楽器なの。」


 あんまり発声練習とか、息づかいとか、活舌(言葉の歯切れの良さ)とか、ほとんど気にして
いなかったんですよね、私が初心者の頃。今はちゃんと練習してますが。
 これを読んでいる詩人さんの中で、オープンマイク等で詩を朗読する数時間前あるいは1時間前
くらいから、柔軟体操や発声練習・腹式呼吸等の下準備をしている方は、いったい何人おられる
でしょうか? あるいは、普段から朗読の練習の前に、それらの下準備をしていらっしゃる方が
何人おられるでしょうか。

 2004年4月4日の京都、voice torchというワークショップに参加。そこで呼吸法とストレッチ
について、講師の沼谷香澄さんに初めて習いました。
 声を出すのに、声帯だけを酷使していたらいけません。内臓のつまっている体全部や、うまくすれば、
両手両足、顔の頬の膨らみまで共鳴楽器のように使えます。体全体を響かせるようにすれば、楽に声が
出るし、遠くの人にまで届くようになる、そういった事を習いました。

 沼谷さんは「舞台の上に立つんだから、基本的には演劇等と同じにしないと」と考えておられました。
だから当然、発声練習も必要だし、呼吸訓練も必要だし、音楽や照明なんかの演出も必要だと考えて
おられるようでした。当然ですよね、だってお金取って観客にお見せするんですから。楽しめるような
内容にクオリティを高める意気込みが、詩の朗読にもあっていいと思います。私もこの考え方に賛成です。

 私にはたまたまお友達に演劇関係の人が沢山います。その方々は、社会人になっている人も多いので
すが、公演前には週に3〜4日は集まって柔軟体操をし、ランニングをし、発声練習をし、腹筋を鍛え、
呼吸法を学び、練習に励んでおられます。人が聞いて聞き苦しくない声の通り、人が見て見苦しくない
体の造り。それぐらい自分を磨かないと、舞台を観客に見てもらうなんて失礼なんだ、という考え方が
当たり前なんですよね、演劇の世界では。少なくとも、テキストを読むということだけで精いっぱいで、
観客を楽しませよう!という意気込みに欠けるような舞台は、見ていてつまらないと思うのです。

 詩の朗読で、観客の皆さんに自分のイメージの世界を楽しんでもらおうと思うのなら、ただ字面を
追いかけて声に出すだけでは、決して観客の方を楽しませることなど出来ません。自己満足で終わる
つもりなら、自分の部屋でたった一人で壁に向かって読めばいいでしょう。でも、もし自分のイメージ
を誰か他の人に朗読で伝えたいのであれば、最低限、人が聞いていて聞き苦しくない声を作るべきなの
だと思うのです。
 
●覚え書きメモ/その5:朗読をする前に、最低限、発声練習や呼吸訓練をしましょう。


散文(批評随筆小説等) 5)詩の朗読・初心者の覚え書きメモ/その5・・・沼谷香澄さんに学ぶ Copyright 宮前のん 2005-11-02 18:59:57
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