領域、その人の
霜天

ともすれば、その人の
冷たい朝なのかもしれない
天井はいつも通りにぴんと張り詰めている
とりあえずは、流行の
そこから外れた道の街路樹のなびく姿を真似て
まずは珈琲をすすることから始める


一番に訪ねてくる人は

            一番に訪ねてくる人は、その日
            朝を吸い込んで遠くへ
            視線はここよりも遥かへ
            ずしんずしんと迫ってくるような人
            とりあえず私は耳をふさいで
            目を閉じる、深い呼吸、開ける
            もうそこにはいなくて
            あんなにも遠くへ

0か1かの夕暮れ
当てはまらない人たちの
行列はどこかへと行く
0か1かの夕暮れ
手に入らないというよりも
何も無いというよりも


    葬列
    風が吹く
    鉄塔、電線が鳴る
    その日つめたい朝に
    ただ、ひゅーんと鳴る
    ひゅーん、と


その朝は終わって
あの人と同じ高さから
いつもと同じはずの街を見ている
変わらない、ここも私の世界だ
爪先立ちをする、おろす、息を、吐く
暖かい朝、0と1と
そこから外れた人の視線は

もっと、もっと高いところへ


自由詩 領域、その人の Copyright 霜天 2005-11-01 00:16:55
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