無意なる旋回
「ま」の字

  無意なる旋回

           ―鳥たちは旋回し
            そらに 籠のようなかたちを編みなし



鳥はそらをとぶ魚
地は往かず
なのになぜ
鳥のみが
寂しい風土性を暗示しているのか
ほんらい魚ならば
あらたなる命と あらたなる大地とを
ういういと表象しうるものを
羽ばたき 軋む 骨格のゆえか 
それとも
軋る骨の内部にほそぼそと伝えられきた捕食と逃走の系譜に
飽いた髄液の寂寥のゆえか
生きること および世界の立ちゆくことをかたちづくる なにか
かれらの運動の軌跡と現れなす なにか

それが天空に浮かぶ船でもない
衛星つきでもない 
まして
同郷のおんなどもを飾りなした
半身に空あおぐ腕環でもなく
はいいろの樹の下に座す古老
また集落の辻に
はるか上古の叛乱に敗れた者たちの最期をつたえある
祭祀でもなかった

かぜふけよ

とりたちは旋回し
空に
巨大なる尖底の土器のごとし
飛行してこそ表象される
かつて炎であったものらのかたなみ
さむざむとした褐色の海にむかってひらたべた 泥土のうわそらを
鳥たちは
おびただしく 
在り 裂き 旋回し
鋼の描線
か 
飢えテ ひラびた
真理 カ

 アアル、 アあル、 Ahr、 あアル、

わい
海を失って空を飛ぶ
なぜにいまさら
そらに
土器なるなり

辺境のそらに
魚に非ざるものら 飛び交い

不思議にけぶり
遷りゆく




自由詩  無意なる旋回 Copyright 「ま」の字 2005-10-28 22:44:14
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