恋文
はな 


「ふくらはぎはね タイムカプセルなんだよ」

そう言った時
掠れた声で
おもしろそうに
わたしのゆるやかな足をなぞるゆびは
日ざしに透けて
どうしようもない昨日とまざり
まるで たいくつな小説のらすとしーん、だ
笑ってしまった

その夜
うちの玄関には
あかと あおの風船が
ゆうびんうけに結いつけられて
かるい音をさせながら
風の吹くほうを 向いていた


ぬるまゆのいけないところは
さかいめのわからないところで
水銀灯と 
目の錯覚は
にごっては澄んでゆく
ほうわ とつぶやいて
また、目をつむってしまう
ほんとうのだいじなあなたのことを
笑い飛ばして
そのあと 泣いてしまうように


そうっとむすびめをほどいて
紺ぺきとは呼べないそらへ
風船を還す
あなたのさわった ふくらはぎ
その筋肉で
ゆっくりと 立ち上がって


自由詩 恋文 Copyright はな  2005-10-28 15:36:54
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