つぶれるカエル
緑茶塵

運命に押し負けたカエルが 
平べったくなって、アスファルトにつぶれている
空は青く、生ぬるく着色された風が つぶれたカエルの背中を撫でている

黒真珠の中の世界が、カエルの燐光を焼いていて
もうそこにはたどり着けないし、瞳には虹が架かっているわけで、やはりそれ以上にはたどり着けないでいる

右側にそびえ、いつか住み慣れた居場所には緑と笑顔が溢れ
左側には、誰かと共に過ごして歩いた、茶色い苦難が待ち受けている

深い色合いの合間から、鋭く鈍い銀色の輝きが、今カエルの脳裏をかすめた

ここはどこか?

自らの居場所ではないなら、旅立たなくてはなくてはならない
焼き付き、尖った地面から体を引きはがし 旅立たなくてはならない

鮮明な赤色が視界を塞ぎ、体の外へと流れ出す
もう手遅れなら、それでも構わない
左手に見えた苦難は、流れるような肌色の大地に姿を変えた


自由詩 つぶれるカエル Copyright 緑茶塵 2005-10-28 09:24:46
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