Halloween
恋月 ぴの

今夜の仮装は何が良いかな
あなたは狼男で、わたしはバンパイア
君は朗らかな笑顔で
オレンジ色のほくほくを
ていねいに掻き出しているね

ふたつの三角から掻き出したら
お次は大きな四角から掻き出そう
ほくほくは、食べきれない程のスープとなって
ふたりの食卓を飾るから

Trick or Treat

ふざけて背後から君のハートに抱きつけば
容赦ない肘鉄を喰らって僕はノックアウト

Trick or Treat

ほくほくを、あらかた掻き出したので
一本のろうそくを灯してみる
ろうそくの仄かな光は
ふたりの幸せを映しだしているよ

Trick or Treat

この種をまくと来春には恋の花が咲くのね
そんな事を君が耳元で囁いた気がして
僕は咽喉元に突き刺さった君の犬歯から
熱い何かが僕の身体中に流れ込むのを感じたよ

Trick or Treat

お菓子のかわりに僕のハートを君に差し出せば
バンパイアの血が体中を駆け巡り
咽喉元に残った二つの赤い穴ぼこから
黒い悪魔がとろり滲み出す

Trick or Treat

黒い悪魔の手招きに導かれるまま
これから二人で夜の街へと繰り出そう

Trick or Treat

ほら、疼いてきただろ
ほら、感じてきただろ


自由詩 Halloween Copyright 恋月 ぴの 2005-10-28 07:16:19
notebook Home 戻る