滴り落ちる独り言
炭本 樹宏

 いままでだってそうだけど
 時代 人に流されて
 いつのまにか
 こんな犬小屋みたいな部屋にいる

 あいかわらず
 おきまりの
 人間関係の
 トラブルに
 巻き込まれ
 寝つきが悪い

 深夜に自動販売機で買う
 缶コーヒー
 人影もなく
 静けさだけが
 僕を包む
 悪くない

 人はただ
 癒されて 
 眠りたいのだ
 
 願いはむなしく
 煙草の煙と共に
 宙に舞いあがるだけ

 僕は死に向かって
 なだらかに
 時の船に揺られる

 幼子は夢の中でブランコをして 
 遊んでいる頃だろう
 もう 僕の手の届かない世界
 
 宿命の階段を一歩づつ
 登りながら
 この時代に生まれてきた
 意味を探している

 ひとりきりの部屋で
 独り言を話して
 崩れそうになる自分を
 なんとか支えてる

 愚かなものに
 与えられた人生は
 苦痛に満ちたものになる

 人ごみに混じって
 よけいに孤独を感じるのは
 歩く道を
 誤ったからだからだろう

 インドでも行きたいな
 心の触れ合う時間を持ちたいな
 そんな願いを
 やはり
 深夜の紫の空の星に
 祈りを捧げつつ
 軽い頭痛とはなじみになった
 眠れぬよるに
 独り言が滴り落ちる

 

 
 


自由詩 滴り落ちる独り言 Copyright 炭本 樹宏 2005-10-28 03:14:37
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