あかつき、それから
キキ

竜道から少し外れた、石の多い場所で
あなたは待っていると言った
すうん。
空には旋回する群れ
あそこにも石が散らばっている、よう

十、は
たくさん。
九九もたくさん。
千、は
手のなかで囁きと安堵をもたらして
眠りに落ちる最後の、そして最初の風景
丸まりの
弾力を思い出す ための


竜の姿をした獣はわたしの手を引いて
サボテンの棘を喰らっていく

地は平らかに
石はたくさん。


角のない、ささくれた道には果てがない、ようで


すうん、すうん

旋回の高度が
ゆるやかに降りてくる

風がくちびるを動かして
あかつきのほうから
精緻な輪郭を揺さぶりにかかる
その煙るまわりには
葉の落ちた枝の翳だけが湿って
きっと初めて泣いたような顔をしている

垂れた産毛にくすぐられ
手を離せば
歩くほどに丸く膨らんでいく胸を
硬く縮んでいく四肢を持つ 獣の輪郭をなしていく

そしてわたしにも
最初のことばを、産む日がくる

       ―――たくさん。は話さないように




散らばっている
いつか
一、に
なるかな
囁きと安寧の
九九、に
わたし
あなたの視界を焼くような
千、の
一、に
なるかな




自由詩 あかつき、それから Copyright キキ 2004-01-10 00:30:32
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