それが冬のはじまりでした
ベンジャミン

つんと鼻を刺激する
空気の冷たさに驚いた朝

慌てて出したコートには
お気に入りのマフラーが巻かれていて
それは大袈裟かもしれないと
くるりほどけば
ひらり舞い落ちた
枯葉が一枚

すっかり痩せたその色は
まだ秋の庭には似合わないと
胸のポッケに挿してあげようとしたのに
はらはら散ってしまいました

そういえば忙しい日々の中
いつの間にか来た春を
追い越してしまった夏を
迎えることもなく秋を
送ることもなくもう
冬なのかと

寒さを思い出させるように手のひらの中
小さくなった身体をふるわせる
その枯葉に

言い忘れていた
去年の冬の
さよならを告げようとすれば


それが冬のはじまりでした



    


自由詩 それが冬のはじまりでした Copyright ベンジャミン 2005-10-25 02:58:23
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