この馬鹿野郎!
あおば

みもふたもないはなしである

漱石の夢十夜の第一話
おんなはあっさりと死んで行く
おとこは大きな真珠貝を手にとって
庭に穴を掘り埋葬する
死亡診断書は何処にある
埋葬許可書はもらったか
そんな些細なことが渦巻いて
はなしの中に入れない

百年後に会いに来るというので
男は墓の傍らで待っている
日が昇り日が落ちて月が出て
ゆっくりと回転して
まるでH.G.ウエルズの
タイムマシンのようだ
タイムマシンでは
太陽が真っ赤に膨らんで
大きな蟹がのろのろと這いまわる
なんとも居心地の悪い未来であるが
漱石の
夢十夜の第一話は
百年後なので
軽いというか
あっさりとして味がくどくないようだ
それから
男と女が再会したのかは覚えていない
それでは話にならないので
これから再読しようと考えている
その前に夕食くらいは頂いても構わないと思いますが。

猫も腹をくくると青大将くらいは捕ってくる
夏の昼はほんとに暑くて
誰も彼もが口を開けて犬のような顔をしている
黙っているのは礼儀というものでしょう。





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タイトルは、「poenique」の「即興ゴルコンダ」より


未詩・独白 この馬鹿野郎! Copyright あおば 2005-10-24 23:15:02
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