まな板の上の恋
ベンジャミン

見ていられない手つきで
君が包丁をにぎるものだから
僕は目がはなせない

指の皮すれすれで切り出される
それはきっと食べ物なのだろうけど

目を皿にしても
そこにおいしく彩られることはない

はらはらしているうちに
僕はもうすっかり茹で上がってしまったよ

二人そろって食事にしよう
僕が食べたいのは君の指じゃなく

きっと切っても切れないようなもの

   


未詩・独白 まな板の上の恋 Copyright ベンジャミン 2005-10-24 02:06:50
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