タクト
銀猫
歩き疲れた素振りを見せず
意固地なくらい背筋を伸ばして
灯りの少ない舗道を歩けば
月の兎と靴音だけがついてくる
無感情に道程を辿り
行く手を遮る列車を見送ると
何故かしら
乗りそびれた車輌には
夢が乗っている気がする
獣の唸りと
風の轟音に似た
そんな
荒けた響きで
鼓膜が刺激され
急に現実が熱を帯びた
天空の月星
もしもまだ間に合うなら
一夜限り
地を這う闇に紛れた花
もしもまだそこに在るなら
一度限りでも
日々の煩いに不揃いな
シンフォニーの
タクトを振らせて下さい
自由詩
タクト
Copyright
銀猫
2005-10-19 20:02:19
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