Loving Blue
恋月 ぴの

生足は季節のアンテナで
感じる微かな蠢きを捕らえては
白い小箱に忍ばせる

真夜中のブランコ
揺れる君のくるぶしは
季節はずれのアンクレット
楽しかったはずの映画も
楽しみだったはずの夕食も
ふたりの手のひらから
さらさら音を立て夜の闇に着地する

君はぎこちなく微笑んで
今夜はすこし寒いわね
震えは小箱に忍ばせた蠢きのせい
ほら、着地点はここよ

生足は恋のアンテナ
私って危ない恋が好きなの
ふたりで見上げる星空は
冷たい夜風を渡る梟の折り紙
手を繋ごうとした僕の思いを振り解き
暗闇に浮かぶ眩しさに吸い込まれ

生足は透明に近い静けさを小走り
ひとりぼっちのブランコは
飼い主を待つ子犬になる

手持ち無沙汰を指折り数え
ほら、ストッキング買ってきたの
ストッキングに包まれた生足
アンテナを薄いナイロンで隠し
今度の君は何を感じ取るのだろう

ふたりになったブランコは
重なる影に揺れている


自由詩 Loving Blue Copyright 恋月 ぴの 2005-10-19 07:13:09
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