夜明けのメルヘン
umineko
あなたが愛と呼ぶものの
正体がわからない
愛がなくても
たぶん
抱きあったりできる
でも
抱きあったりできない
場合もある
だからといって
愛していたり
することだってある
愛は告げるものではなかった
夜明けが
誰の目からも明らかなように
にわとりが朝を
呼ぶのではない
ことばが
愛を運ぶのではないように
愛は
そ知らぬ顔でやってきて
私のとなりにちょこんと座る
私は
接し方がわからずに
どこかの新しい動物を見る目で
それをみつめている
愛はそこが居心地いいのか
ただ偶然そこにいるのか
しばらく私のとなりにたたずむ
私は
接し方がわからないので
息を潜める術ばかり学ぶ
おはようって
私がいえばよかった
愛はどこかにいってしまう
勇気とはしかし
私は思う
勇気とはおびやかすことだ
愛に何ももたらさない
私はとても疲れているが不快ではない
愛は始まり
愛は夜明け
愛は私のものではない
好きですって
私はいう
世界がいっせいに目を閉じる