鈴虫がないている

玄関のドアを開けたら
鈴虫がいた

小さい頃の歌 思い出す

リンリンリンリン リィンリン

鳴くのを待って
じっと見つめる

鳴かない
睨み合う

僕が負けて
歩き出す

鈴虫も一人では 歌えないのかもしれない



用を済ませて戻ってきたら
鈴虫がいる

僕は首をかしげ
部屋に戻る




眠る前
忘れた頃に
遠くから聞こえてくる

鳴いている
泣いている

リィン リィン リィン

悲しそうに
力強く
鈴虫がないている


自由詩 鈴虫がないている Copyright  2005-10-19 00:00:43
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