色相環
相馬四弦

公園の中で季節を売る老人が

樫の木のベンチにぽつんと座って

売れ残った夏を鳩に投げつけていた

ぼくは池を一周 口笛吹きながら

薄く晴れた十月のパノラマに

若く散った楓を敷きつめる

走り抜けていった自転車と少年の轍

いま遠ざかる道草の香りが消えぬ間に

二十四の残像をパレットに乗せて

老人の絵を描いた


自由詩 色相環 Copyright 相馬四弦 2005-10-18 17:50:55
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