それは今夜見る夢
初代ドリンク嬢

死んだように
眠る私を置いて
私は遠くへ
うつろうままに

残された私のまぶたに映るのは
羊水の中から確かに
こちらを見ている何か

それは意思をもって
眠る私のまぶたに
朱く映る

眠ったまま
まぶたにうつるそれと
音のない対話を続ける

そんな私を残して
私は
重いものを捨てて
はるか彼方に
旅立つ

良心は私が持って行こう
目が覚めたとき
私は
失った良心を探して
そのうちに
ビニール袋を抱えた
善良な市民をひき殺してしまうだろう

私は
朱い満月を背に
そんな私を
見つめるだろう

どうする?
その時どうする?

私は戻らないかもしれない
戻るかもしれない
必要としてくれるのなら

満月の下を
太陽の中を
湖の上を
山となって

うつろいながら
楽しく
見ているかもしれない

その時
私は
どうする?
私を探すの?
それとも
そのまま

そのまま
羊水の中から話しかける
朱いそれに誘われるまま
溶け込んで
静かに
そのまま
眠り続けるのだろうか


自由詩 それは今夜見る夢 Copyright 初代ドリンク嬢 2005-10-16 17:09:49
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