悲しみに別れを告げるとき
ベンジャミン

風が言葉をさらっていった

ただ黙って
夕暮れを見送る

綺麗なものへの憧れは尽きることなく

たとえばそう
悲しみの結晶が透明であるならば
過去も無かったことにできるだろうか

過ちは
そうやって降り積もり
費やした時間の重さで押し固められて
まるで万年雪のように
心を覆ってゆく
そして


冬が来る


冷たくなった耳を両手で押さえれば
いつかどこかで聞いた
波音が聞こえる

それは風のいたずらだと
わかっていても

あふれる涙の理由を探すように

「悲しい」と
動かしたはずの唇が

「淋しい」と
呟いてしまうとき

押さえた胸のぬくもりが
生きることへの執着に置き換えられても

それを希望と名づけるのは

あなたと出会うためだったのです

     


自由詩 悲しみに別れを告げるとき Copyright ベンジャミン 2005-10-13 15:15:15
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
タイトル長いー詩