10月11日は過ぎてゆく
蒼木りん

涙をふいた手を見つめて
胸を締める
責める


世間は
冷たいものだ

わたしが哀しくても
「うるさい」と
平気で言う

ものには
言い方というものがあるでしょう?

かなり現実の中で生きているから
現実仕様のお顔で
イマジネーションの中で漂う人を別視する

わたし
あなたみたいなガメツイ人間が
嫌いです


そんな事ではないのだ


わたしの
クリオネが死んじゃった
子宮の中で

10月11日は
過ぎてゆく


むかし
子殺しの猫がやってきた
やくざのような
瞼に傷のある

子猫をみんな
噛殺した

祟り猫だ


クリオネの心臓は
ピクピクもしないで
白く陰が
写るだけで

子宮口を開く痛みは
クリオネとの別れを飲まざるを得ない

わたしの
弱さゆえの拉がれ


残念なことに
まったく理解できない人間がいる

病室に
黄色い花の鉢植えを持ってきた人だ

目に映る現象は白か黒で
自分の立場を気にする

今もその人といる
寝るときは別


そんな事ではないのだ


わたしのところへ来た鉢植えは
みんな枯れてしまう


未詩・独白 10月11日は過ぎてゆく Copyright 蒼木りん 2005-10-12 00:13:55
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