家族対抗紅白歌合戦
ZUZU

きのうはそばの日なので
家族でおそばを食べにいきました。
お父さんは五杯食べました。
お母さんはニ杯半たべました。
お兄ちゃんは八杯と、お母さんの残した半分を食べました。
わたしは六杯食べました。

きょねんの大みそかはなにしてたっけ
と車のなかでお父さんがききました。
お母さんは紅白歌合戦をみたじゃないのと言いました。
でもわたしは友達と初詣に出かけるので見てません。
おにいちゃんはそのころうちに寄り付いていません。
お父さんは部屋で落語のレコードを聞いていたはずです。
(どうしてかというと、いつもそうだから)

どうしておそばの日に
家族でおそばを食べにでかけたのかといえば
お父さんとお母さんが
もしかしたら離婚するかもしれないという話を
先週あらたまって聞かされたからで
お兄ちゃんもわたしも
数学の方程式や証明問題が得意なたちなので
そういう定理からいって
これはもはやどうにもならないのだろうなと
きっとわかってしまったのです。

お兄ちゃんは来年から大阪へいくそうです。
どうして大阪かというと、
先輩や年上の彼女が大阪に就職したからだそうです。
そういう主体性のなさがお兄ちゃんの欠点です。
欠点の裏返しが長所なのだろうけれど、
主体性がないくせにやけに悲観的なのはやめてほしいです。
あれでは将来が心配です。

お母さんはマツケンのファンです。
むかしはジュリーのファンでした。
ようするにキラキラするものが好きらしいです。
あらいぐまみたいな習性です。
そういえば何時間も楽しそうに洗い物をしています。
わたしは手伝ってもいいけれど、
あんなに楽しそうなのを邪魔しちゃわるいとおもって、
いまだ手伝ったことはありません。

お父さんはよくわからない人です。
マージャンを教えてもらった以外特に教育は受けていません。
いつも早く家に帰ってきています。
なんの仕事をしているのかもよくわかりません。
カキモノをしているらしい、という噂は友達から聞いたけど、
お父さんの名前は平凡で趣味は落語しかありません。
わたしはお父さんが詩人だったらいいのにと思います。
だけどきっとなんかのHなルポライターとかなのでしょう。

わたしは家族のことが大好きです。
学校ではバレー部に入っています。
弱くて楽しいから気に入っています。
ストレスがかかるとアトピーが出ます。
子供のころはぜんそくの発作も出ていました。
好きな男子は同じクラスのM君です。
仲がよいので、かえって告白なんかできそうにありません。
キャリアウーマンとかには絶対なりたくありません。

すこし遠くまでドライブしようか、
とお父さんが言いました。
だれも反対しなかったので遠くまでドライブになりました。
大みそかには、
紅白歌合戦をみて、
年こしそばをみんなで食べよう。
そんなふうな意見でなんとなくまとまりました。

お兄ちゃんはつまらなそうに外ばかり見ていました。
お母さんはマツケン今年も出るかしら、と言いました。
お父さんはそれっきりだまってしまいました。
わたしはおそばを食べ過ぎたのかすこし吐きそうでした。












自由詩 家族対抗紅白歌合戦 Copyright ZUZU 2005-10-10 20:35:32
notebook Home 戻る