悦楽連鎖
A道化






繰り返される
果実の落下・落下・落下、の
地面で重複してゆく破裂の匂い


それだけを呼吸し、それだけを呼吸したら
わざと気化したくなるほどの、それはひとつの悦びか
それは、朽ちる寸前まで熟れ続ける悦びか
吐き気と紙一重のぎりぎりの
息苦しいほど、肺の


いつか肺をやめればもうやめることのできる肺はなくなり
吐き気も何も感じることのない体だ、心だ
いつか何もかもをやめれば何もやめることはなくなり
数リットルだったわたしは気化し、その時から何処までも
拡散し続ける意識の無い迷子だ、そうして死んでいるうちにふと
果実として生まれ、繰り返し落下しその匂いを、この匂いを、私を
苦しいほど感情的に呼吸して下さる何処かの肺で満ち引きし


嗚呼、誰かの、吐き気になりたい
局部的な局部的な悦びとして
息苦しいほど、肺の



2005.10.6.


自由詩 悦楽連鎖 Copyright A道化 2005-10-06 22:39:55
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