うしあめ
はな 


いつも 足りないと
つぶやくような目で
半透明 だった
校庭も
平たいホームの直線も
影をうばうばかりで

屋上にでるたび
そらに 手をひたして
紅くそまった冷たいゆびを
にぎりなおす



わたしたちは雲のように
光をすう虫
ただよいつづける朝をすごして
それでも ありがとう と呟く



家出した夜
凍ったまぶたの
牛の群れをみた
その 前進に
あなたの目と、わたしの手に
異なりなどはないのに
とばりのようにふれて来る 
かなしみをおもった


とうめいな夕立が やんでゆく
空は緑色にそまって
こわれそうな
たましい
たしかにせかいの一部 だった
顔をうずめる
あさやけ、
うそだったけれど きれいだった




繰るのは
ぶきようにひろがるばかりの空 
固くしめった
あたたかなきおく


いつか あさあがりに
向こう側の 
とびらの影をひきずって
あなたにかさねる
丑雨を 
ゆらして





自由詩 うしあめ Copyright はな  2005-10-06 01:09:17
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