かちにげはずるい

９月は考え込んだ
８月のやつったら
いい思い出だけ残して
いっちまった

かき氷
カラコロ、下駄
「髪型、かわいいね」って言ってた
あの人・・・
カエルの鳴き声
ケロケロ。

そんなのや

海岸
貝殻
「帰らないの？」って聞いた
君・・・・
雷、
傘はなくて・・・
肩に顔を伏せて。

そんなの

９月なんて
残暑が厳しいねえ、なんて
言われるだけでおわっちゃう

そう呟いて
ふいと風を吹かせていなくなった




ほんのり色づいた楓を見上げて

９月のやつ、かちにげはずるい
１０月がぶつぶつ文句を言い始めた

いとうさんの詩のサイト「poenique」の即興ゴルコンダに出したものです。
お題は前回１位のピッピさんから。