雑踏中のさよなら。
杉田蝶子

別れのときは、
必ず雑踏の中で
あなたの声が
通るような道じゃ
さっき振った雨の雫に
電線が輝いて
空気は澄んで
美しさに
切なくて死んでしまいそう

別れのときは、
必ず雑踏の中で
口付けの合間
あなたの息だけ吸って
それだけで生きて
私だけの息を吸って
そうして生きていて

身も千切れるほどに思ったって
あなたの家は
100メートルも先

離れないで
夜もあなたがいなきゃ
あたしは何で
生きればいいの

嗚呼、
混乱の雑踏の中
嗚呼、
狂乱の頭の中

別れなんて死んでしまえばいい



自由詩 雑踏中のさよなら。 Copyright 杉田蝶子 2005-10-02 00:18:18
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