午前一時の人
霜天

もう一度、始まるのです
そう言って眠り落ちる人
危なくはないですか
休みたくは、ないですか
瞼の裏側の静かな暗闇で
一人で旅に出るそうです
朝までには戻るから、と
その人は


積み木は崩れていくので
積み木は崩れていく、ので
吸い込まれそうになる電車の側からは
離れた場所ですべてを待っています
乗り遅れることが大半で
そうやって暮れるのが世界だ、と
笑うその
人は


どんな場所よりも深い色を、泳いでいく
そんな視線で




目覚めればまたいつものように
旅先の話を聞かせてくれる
届いた
そんなふうに見せる指先を
大きな円に振りながら
また明日の時計が鳴れば
すべてを始めていくのです

眠る前の目の奥に、どこにもない色を覗かせながら
その人は
その指先は


自由詩 午前一時の人 Copyright 霜天 2005-10-01 00:51:02
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