午前一時の人
霜天
もう一度、始まるのです
そう言って眠り落ちる人
危なくはないですか
休みたくは、ないですか
瞼の裏側の静かな暗闇で
一人で旅に出るそうです
朝までには戻るから、と
その人は
積み木は崩れていくので
積み木は崩れていく、ので
吸い込まれそうになる電車の側からは
離れた場所ですべてを待っています
乗り遅れることが大半で
そうやって暮れるのが世界だ、と
笑うその
人は
どんな場所よりも深い色を、泳いでいく
そんな視線で
目覚めればまたいつものように
旅先の話を聞かせてくれる
届いた
そんなふうに見せる指先を
大きな円に振りながら
また明日の時計が鳴れば
すべてを始めていくのです
眠る前の目の奥に、どこにもない色を覗かせながら
その人は
その指先は