*混迷*
かおる
空の際を白くフリンジしている
入道雲はあぐらをかいて居直っていた
緑はいつの間にか黄色のまだら模様で
青の侵入を緩やかに許している
落ち葉の中カマキリはちゃっかり枯れ葉色
こちらの様子をギロっと睨み
ギンナンは黄金の滴りの重さに耐えかね
風が吹く前にひっそりと零れていく
秋の虫を踏みにじるように
寝坊した蝉が言い訳を呟いていて
見上げる空は低い
お〜い、雲
もう神無月だって知っているのかい
時は誰よりも勤勉なのにミスリードする私たちと一緒に
季節をどこかで迷子にしたことは確かである
かみさんと一緒に出雲大社にでも引き籠ってしまったのだろうか
躊躇を引き裂くように20トントラックが南から北へと疾走し
夏と秋の混声二部合唱はまだまだ続く